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昨年に引き続き地価上昇地点増加、福岡市では23年ぶりにプラスに転じる
 2015年3月に国土交通省より発表された福岡県内の公示地価は、上昇地点が昨年から更に増加しており、住宅地については前年度の0.3%下落から0.1%の上昇と23年ぶりにプラスに転じました。福岡市では住宅地、商業地とも3年連続で上昇しています。
 福岡都市圏を中心として9市4町が上昇を見せており、勢いに引っ張られて周辺自治体にも好影響を及ぼしているようです。
 商業地では、博多駅前地区や天神地区の上昇幅が大きく、博多駅周辺では4年前の九州新幹線開通に伴う再開発が進んでいるほか、天神地区についても、今年2月に福岡市を主導として「天神ビッグバン」プロジェクトと銘打ったオフィスビルや商業ビルなどの再開発が今後始まったこともあり、益々活性化していくものと考えられます
 平均賃料を「ふれんず」データで見ると、県全体では57,602円、都市別では福岡市が68,564円、久留米市が52,942円、北九州市が52,616円、筑紫野市が54,643円、飯塚市が49,069円、大牟田市が45,802円と続き、福岡都市圏で上昇傾向が見られます。


投資家の思惑・建築費の上昇と消費税増税の影響
 アベノミクスによる影響もあり、東京を一極集中とした投資に対するリスクヘッジを兼ねて、関東や関西の投資家や、中国などの海外の投資家は福岡都市圏の不動産を求めているようで、投資先としての需要は高いとの声が聞かれました。しかし、地価上昇や建築資材の人出不足による人件費の高騰もあって、建物の建築費は上昇していますが、賃料はほぼ横ばいを推移している状態にあります。日経平均株価がこの1年で30%以上上昇し、アベノミクスによって景気も改善傾向にあるとはいえ、景気改善による賃金の上昇幅が弱く、2014年4月からは消費税増税に伴う駆け込み需要の反動も影響して、全体的に見ると不動産に関する動きは鈍くなっているようです。建築コストが上昇した影響から賃料を高く見積もっても、高賃料帯の物件に帯する需要は伸び悩みしている傾向にあるため、相場より安くせざるをえず、建築費の回収がままならない物件も出てきています。消費税の現行8%から10%への増税や、アベノミクスの終了が市場にどのような影響を及ぼすか危惧する声も聞こえております。


人口流動による二極化が進む
 昨年総務省が公表した平成25年度住宅・土地統計調査では全国の空き家が総住宅数6063万戸の内、820万戸で空き家率は13.5%と過去最高を更新した中、福岡県内の空き家の戸数は249万戸の総住宅数に対して、31万戸(空き家率:12.7%)と全国平均を下回る結果が公表されました。しかし、県内においても福岡市には人口が流入している反面、北九州市や久留米市では人口流出が止まらず、高齢者の割合が高い地域も増えており、福岡都市圏とそれ以外の二極化がより進んでいる傾向にあります。今年5月からの空家等対策特別措置法が施行されましたが、郊外では空き家も増加しており、人口流出に伴う空き家の管理や利活用などが喫緊の課題となっています。


人気物件の動向
更に設備充実、清掃の徹底も
 賃貸客の多くは新築、築浅の物件から探す傾向は現在も変わらないようです。外観アプローチや門構えなどを重視するのも最近の傾向です。
 設備面では、風呂の追い炊き、ウォシュレット、モニター付きインターホン、インターネット無料、エアコン、バストイレ別物件へのニーズが高く、近年では床暖房、セキュリティ、トランクルーム、防犯カメラ、オール電化を要望する賃貸客も少なくありません。また「室内洗濯機置場があるかどうかが明暗を分けた」(業者談)という声もありました。浴室乾燥機もニーズはありますが故障のクレームがあるようです。
 都市部を中心に家具付きや宅配ボックスに人気があります。中には風呂にテレビを付けた物件や盗聴発見器の要望も。賃貸客の中には風呂なしシャワーだけというニーズもたまにあるようです。
 LDKタイプの広くて明るいリビングが好まれ、郊外は2台分の駐車場が必須になりつつあります。周辺環境の条件として、コンビニが近くにある物件、ファミリー層は人気校区が選択の条件になっています。共用部分の清掃を徹底する傾向も強くなってきました。


空室対策
空物件を家賃下げマンスリーに
 近年、都市部では空室物件をマンスリー事業者が借り上げ、短期賃貸物件として転貸するケースが増えてきました。家賃は相場より安く設定し、入退去の回転を速くする手法で、東京、大阪から出張で来たビジネスマンがホテル代わりに活用するというものです。中央区春吉では家賃4万5千円の物件を4万円にして貸出している例があります。一方、「マンスリー業者が倒産した場合、入居者との契約が不明となり、敷金精算ができない場合もある」(業者談)と、この手法に懸念を示す声もあります。
 空室対策で常に論じられるのがリノベーションですが、実際には一部で見られるものの、圧倒的にリフォームの改善で止まっているケースが多いようです。採算が合わないというのが一番の理由です。「返済を終えた30屬慮鼎な件を、水回りを中心に180万円かけた」(業者談)ケースがありましたが、ユニットバスの交換まではしなかったということでした。


家具・家電設置で効果
そのほかリフォームの例では、和室を洋間に、エントランスの見栄えを改善、パンチカーペットの直貼りをフローリングに変更等々が多いようです。また、「家電、家具付きの物件にしたら直ぐに決まった」(業者談)という声もありました。
 空物件をモデルルームにして、家具・家電を置くケースや、精巧に作られたダンボール家具を置き、その写真をネットに掲載して誘引効果を高めようとする例も増えてきています。ペット可にして空室対策につながったという例はたくさん聞きますが、「猫は爪であちこちひっかき、物件の毀損が広範囲になるので禁止している」(業者談)例もあります。


今後の賃貸市場の動向
人口減少、減速経済に不安増
 2017年4月から施行が予定されている消費税アップを前に、活発な不動産の動きが予想されますが、「問題はその後の市場が読めない」(業者談)と予測する声が聞かれました。確かに少子高齢化、人口減少、減速経済下での雇用不安等の経済環境の中では、明るい将来展望を期待するのはなかなか難しいかもしれません。
 現在、都市部を中心に20年前に供給された1R物件の供給過剰の状態が続いており、今後は新築物件の供給により更にこの状況は拡大し、少子化で住宅需要が減少していくことで、耐久年数を迎えた古い物件が相当数出てくることが予測されます。加えて、高齢者が住む分譲マンションや戸建てが住み替えによって更に空室物件として膨れ上がることになると思われます。


変化の中にニーズ捉える
 こうした状況の中で賃貸市場は更に熾烈な競争が行われることになり、一段と経営力が問われることになります。今後はシェアハウスタイプをはじめ様々な形態をもった物件へのニーズが強くなってくることが予想されます。市場環境が大きく変化していますので、不動産業者、オーナーは常に時代のニーズを読み取り、応えて行くことが求められる時代になっています。

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