〇平成30年4月1日施行の改正 宅建業法の改正について

平成30年4月1日施行される宅建業法の改正に伴い、媒介契約の締結、重要事項の説明、売買契約の締結時など、既存住宅売買の取引に関して、インスペクション(建物状況調査)に関する業務が追加されることとなりました。


≪平成30年4月1日施行の改正宅建業法に関する概要≫

1.媒介契約書面に、インスペクション(建物状況調査)を実施する者のあっせんに関する事項を記載

売主と媒介契約(媒介契約の種類は問わず)を締結する際に、宅建業者は「建物状況調査を実施する者のあっせんの有無」を記載することとなります。 宅建業者は売主に対してインスペクション(建物状況調査)がどのようなものなのか説明を実施した後、検査事業者を「あっせん」するかどうかの意向を確認し、あっせんの有無を媒介契約書に記載してください。なお、「あっせん」とはインスペクションの実施に向けた具体的なやりとりが行われるよう手配することが必要であり、単に調査事業者を紹介したり、情報提供を行うだけでは「あっせん」にはなりません。

≪媒介契約書面におけるあっせんの有無の記載について(イメージ)≫


〇改正宅建業法に規定する建物状況調査とは、「既存住宅状況調査技術者講習を受けた建築士(既存住宅状況調査技術者)」が実施するインスペクション(建物状況調査)のことをいいます。既存住宅状況調査技術者は以下のURLより検索できます。

◎登録講習の実施機関一覧(平成29年9月現在)

登録番号 講習実施機関の名称 登録年月日 既存住宅状況調査技術者検索ページ
一般社団法人 住宅瑕疵担保責任保険協会 平成29年3月10日 http://www.kashihoken.or.jp/inspection/search.php
公益社団法人 日本建築士会連合会 平成29年3月27日 https://aba-svc.jp/house/inspector/index.html
一般社団法人 全日本ハウスインスペクター協会 平成29年5月26日 https://house-inspector.org/
一般社団法人 日本木造住宅産業 平成29年5月30日 http://www.mokujukyo.or.jp/kensetsu/inspection/search.php
一般社団法人 日本建築事務所協会連合会 平成29年6月9日 http://kyj.jp/inspection/search

※既存住宅売買瑕疵保険の加入を検討している場合、検査事業者が既存住宅状況調査技術者であることに加えて、住宅瑕疵担保責任保険法人の登録検査事業者である必要がありますのでご注意ください。

2.建物状況調査の結果の概要、建物の建築・維持保全の状況に関する書類の保存状況を重要事項として説明

インスペクション(建物状況調査)を実施した後、調査事業者より2種類の報告書〔「建物状況調査の結果」と「建物状況調査の結果の概要(重要事項説明用)」〕が引き渡されます。宅建業者は35条書面(重要事項説明書)の説明時に「建物状況調査の結果の概要(重要事項説明用)」の写しを添付して、物件の劣化状況を説明します。
※建物状況調査結果に有効期限はありません。ただし、重要事項説明の対象となるのは調査を実施してから1年を経過しないものに限ります。

≪建物状況調査の結果の概要(イメージ)≫


また、既存住宅の購入判断等に大きな影響を与えると考えられる一定の書類の保存の有無を説明することとなります。

書類の例

書類 概要
検査済証工事が完了した建築物について、建築基準に適合していることを証明する書類
確認済証着工前の設計段階の計画について、建築基準に適合していることを証明する書類
確認申請書の添付書類平面図等の工事用の図面や、使用材料等を記した仕様書
建物状況調査結果報告書改正法に基づく建物状況調査の結果報告書
既存住宅性能評価書住宅の性能の評価を専門に行う第三者機関が既存住宅の劣化事象等の状態を検査し、性能を評価・表示した書類
定期調査報告書建築基準法に基づき、一定の建築物(共同住宅等)の所有者・管理者が、定期的に建築物の劣化状況等の調査を行い、当該結果を行政庁に報告する際の書類
新耐震基準に適合していることを
証する書類
新耐震基準(昭和56年6月1日から導入された現行の耐震基準)に適合することを証明する書類。住宅ローン減税等の税制優遇措置を受ける場合に取得する耐震基準適合証明書などが該当。

≪35条書面(重要事項説明書)における書類の保存の状況の記載について(イメージ)≫

3.37条書面に、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について、当事者の双方が確認した事項を記載

2.の「建物状況調査の結果の概要(重要事項説明用)」の写しを宅建業者が交付・説明した上で契約締結に至った場合、確認した事項として記載します(それ以外は、原則として該当事項「無」と記載します)。
※建物状況調査等の結果以外で、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について、契約当事者の双方が写真や告知書等をもとに客観的に確認した事項に基づき、その内容を取引価格や瑕疵担保の免責に反映しようとする場合には、「当事者の双方が確認した事項」とはせず、37条書面(売買契約書)の特約条項に記載することを推奨します。

≪37条書面(売買契約書)における双方が確認した事項の記載について(イメージ)≫

◎参考資料

・改正宅地建物取引業法に関するQ&A(PDF)

・建物状況調査制度概要リーフレット
 売主用(PDF) / 購入検討者用(PDF)

福岡県宅建協会 TEL:092(631)1717 福岡県不動産会館 TEL:092(631)3333 ふれんず事務局 TEL:092(600)9061