福岡県の不動産市況
本特集記事は、主に賃貸仲介・管理業を行う県内53社の宅建業者を対象に、2月上旬から3月上旬にわたってヒアリング・インタビューを行い、これに不動産ネット「ふれんず」のデータを参考にしながら県内主要エリアの賃貸市場の動向についてまとめたものです。
北九州市門司区
賃料は二極化新婚家庭に新たなニーズ
JR門司駅周辺は1Rマンションが集中しているエリアですが、新たなニーズとして新婚家庭を中心に1LDKが人気です。広さに加え、浴室乾燥機などの設備が整っているのが理由です。物件は増えていますが、賃料が新築で6万円台と高額化しており、築古の1Rや1K3万円程度の物件を探す層も少なくなく、賃料も二極化しています。
門司区の今春の賃貸市場に関しては、コロナの影響で転勤が少なくシングルの移動が減り、移動を考える人も収入減から現在の居所よりも安い物件を探す傾向です。空室率は前年とほぼ変わらないといいます。
間取り別の賃料相場は、1R〜1DKが3〜5万円。2DK〜2LDKが4〜7万円。3DKが5〜6万円。3LDK〜が6〜8万円です。
小倉北区・南区
守恒一帯で需給バランスが崩れ賃貸物件にダブつき
西小倉駅エリアはここ2年でシングル向けの新築が増加したことで一気に供給過多となり、高止まりしていた賃料の値崩れが起こっています。小倉北区では市場変化がみられ、今は大手町にファミリー層が集中しています。昔は守恒エリア(小倉南)の動きが好調でしたが、「ザ・サンパークシティ守恒」の完成で一帯の需給バランスが崩れ、賃貸物件がダブついています。
JR城野駅エリアは人気エリアへと変貌する可能性
JR城野駅エリアでは、陸上自衛隊跡地と北九州総合病院移転に伴う跡地開発に関心が寄せられています。1R専用の14階建て2棟が建設予定で、イオンの進出も噂されるなど、人の動きが活発となり、人気エリアへと変貌する可能性を秘めており、住宅市場への変化も期待されています。
引越し控えや空室増加コロナ禍によるものか
小倉北区では、今春の賃貸市場動向は引越し控えが起きており、例年に比べ地元内での移動が少なく、新婚やファミリー層、流入組がメインの客層になっているといいます。
成約率の高い地域は、シングルはモノレール沿線。DINKsの場合は、車1台ならモノレール沿線ですが、車2台なら郊外エリアで駐車場込み7万円が人気。ファミリーと法人は人気学校区で選択し、高齢者は中心部で、町中の高齢者向け優良賃貸住宅は依然人気が高く空きがない状態です。外国人は中津口周辺に集中しており、特にベトナム系の方が増えたといいます。
間取り別の賃料相場は1R〜1DKが3万円(駐車場別。以下同)。2DK〜2LDKが6.5万円。3DKが5万円。3LDK〜が8万円です。
また、学生が多い地域ではコロナ禍で空室が目立つといいます。リモート授業が影響し実家から通学する学生が増え、結果、退去者も増えたということです。
1LDK賃貸は供給過剰でペット可マンションへの反響大
小倉南エリアの賃貸は1LDKが供給過剰で、他地区からの流入がない限り需要は望めません。最近の傾向として、ペット可マンションへの反響が大きくなっています。また、これまで2〜3万円を限度としていた中国・韓国系の留学生が、賃料4万円の物件に興味を示しています。
小倉南区では、各属性における今後の需要見通しについて、高齢単身者は増加し、それ以外の層については減少するとみています。
間取り別の賃料相場は1R〜1DKが3〜5万円。2DK〜2LDKが6〜8万円。3DKが5〜7万円。3LDK〜が7万円〜としています。
八幡東区・西区
今春開業の商業施設「ジ・アウトレット北九州」に注目
八幡東区は東田地区のスペースワールド跡地再開発に伴い、今春4月下旬に商業施設「ジ・アウトレット北九州」が開業します。北九州市には、これまで若者が集まる場所が少なかっただけに新たな文化発信地となるか注目されます。この再開発に伴い、周辺地域の整備(道路、駅周辺、マンション建設など)が進み中央商店街の建物解体が相次いでおり、周辺空地の再開発は町の活性化へ繋がると期待されています。
高齢者層・外国人以外の動きに期待感
八幡東区の今春の賃貸市場は周辺地域の再開発が影響し、昨年後半より長く空いていた店舗への入居が複数決まったといいます。ただ、コロナの影響で大学生および留学生等に関しては新たな入居が減少しています。今後の需要見通しとしては、再開発による雇用増が期待でき、シングル・DINKs・ファミリー・法人で増加するのではないかとみています。高齢者層に変化はなく、外国人については、渡航制限があるため減少するとみています。
間取り別の賃料相場は1R〜1DKが3〜4万円(新築物件を除く。以下同)。2DK〜2LDKが5〜6万円。3DKが5〜6万円。3LDK〜が6.5〜7.5万円です。
八幡東区の再開発の影響で中央町の空き店舗への問い合わせ増
八幡西区では、隣接する八幡東区の「スペースワールド跡地」再開発が雇用を生み、住宅需要を刺激すると期待されましたが、思ったほどの効果は出ていないようです。一方で、中央町の空き店舗が徐々に決まり始めています。再開発による仕事関係業者が中心ながら、業態としては電気工事会社、エステ店などが昨年から決まっており、これらの現象は周辺商店街の流動化、活性化への受け皿として期待されます。
賃貸の動きとしては、コロナの影響で繁忙期が分散化し、オンライン内覧が増え、業務が煩雑になったといいます。また、法人の動きが減ったということです。
各間取りにおける賃料相場は1R〜1DKが3万円。2DK〜2LDKが5.5万円。3DKが5.5万円。3LDK〜が6万円です。
若松区
西部地区の本城エリアは急激な人口増で問い合わせも増加
若松区は、若戸大橋の無料化で戸畑や小倉への通勤が可能となり、シングルが小倉や戸畑エリアから安い賃貸を求めてくるケースはあるものの、件数的には多くありません。一方で注目されるのは西部地区の本城エリアで、人口の急激な増加で問い合わせが多くなっています。
コロナの影響でアパートや賃貸マンションは入居までの期間が長期化しています。空きテナントが増え、新規のテナントも思ったように決まらない状況です。加えて、最近は単身の高齢者による孤独死が多く、空室となるケースが増加しています。
戸畑区
シングル向け住居は空室あり
戸畑エリアは、コロナが影響し、学生を中心とするシングル向け住居は多く空いています。リモート授業が増えた大学生のひとり暮らしが減り、その分需要が減少したようです。
新築アパートは多くが高層化し、戸畑区役所近くに15階建て総戸数108戸の賃貸マンションが建設されています。間取りは1K〜3LDKで、賃料は4.8〜10万円。
PAGE
TOP