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福岡県の不動産市況
福岡県の不動産市況
本特集記事は、主に賃貸仲介・管理業を行う県内44社の宅建業者を対象に、2月上旬から3月上旬にわたってヒアリング・インタビューを行い、これに不動産ネット「ふれんず」のデータを参考にしながら県内主要エリアの賃貸市場の動向についてまとめたものです。
なお、これらの詳細情報は福岡県宅建協会が毎年HP上で「福岡の不動産市況」として発表しています。
筑紫野地区
リモートワークやオンライン授業の普及で人の移動が減少
 シングルはリモートワークや学生のオンライン授業が普及し、転居の必要がなくなっています。ファミリーは子供の成長に伴い、部屋数を増やす必要から引越し需要はあるようです。
コロナ禍、大型の飲食テナントの退去が今後増加する可能性
 シングル層に一番動きがあり、特に外国人や学生の動きが目立ちました。他の層は例年に比べ動きは鈍いようです。当該エリアでは夫婦二人世帯が本来多いのですが、地場の業者は今年は少ないと感じており、高齢者や法人の需要も少なくなると予想しています。
 賃料は全体を通じて大きな下落はみられませんが、初期費用が安い物件が増えています。当該エリアでは数年前から単身者向け物件の供給が目立ちます。
新築アパートの建設が増加し古い物件に空室目立つ
 個別の動向としては、新築アパートの建設が増加傾向にあり、新築物件への入居志向が活性化しています。新築物件が増えることで築15年程度の物件に空室が目立ち、賃料を値下げせざるを得ない状況にあります。結果的に築20年~30年の物件と賃料帯が同一となり、同年代物件の空室率が高まっています。この背景には、地元の地主が賃貸住宅を建設するという図式から、地域外の個人投資家が土地を購入しアパートを建てるという図式へと変化しており、新規物件の供給が相次いでいるからです。
久留米地区
コロナ禍で賃貸の動きが鈍化
 久留米市の住宅市場をみると一昨年は堅調な推移をみせていましたが、昨年は前年に比べ悪化し、年末から今春までは緩慢な動きとなっています。コロナ禍の影響で賃貸のファミリー層に動きがなく、繁忙期の学生の反応も鈍いようです。リモート授業の定着で、学生の賃貸需要が減り、法人契約の入居者も移動がない状況です。
富裕層に特化した賃貸物件、高い入居率
 コロナ禍でも久留米大の学生の賃貸需要に大きな影響はありませんが、久留米医大生の賃貸市場へのアクセスは少ないようです。富裕層に特化した賃貸物件の入居率は高く、ハイグレード物件の賃料は共益費込み8~10万円で、医療関係者、自営業者、公務員などが契約しています。
 昨年のコロナ禍に対する緊急事態宣言時は賃貸物件の賃料値下げの要望がありましたが、賃料補助が出たことから今回の宣言下ではありませんでした。
県南地区
筑後船小屋駅の開業で福岡市内への通勤者増加
 これまで筑後市は久留米のベッドタウンとされていましたが、八女ICに近く、新幹線が開通し筑後船小屋駅が設けられたことから、双方を利用した福岡市内への通勤者が増えています。
 賃貸市場は、新築はすぐに成約しますが、築20年を超えると難しくなります。若い人は家具を持たない方が多いため、埋込み式クローゼットや納戸が付いていると好評です。
大川市の賃貸市場は鈍化傾向に
 大川市内には国際大学医療福祉大学大川キャンパスがあり、隣接する高木病院関係者もいて、賃貸需要はありますが、コロナ禍で学生の動きは鈍っています。シングルの供給は増えて過剰となっていますが、ファミリー向けは不足しています。新築以外の物件は入居者の移動が少なく、コロナ禍の影響で事業用のニーズも少なくなっており、市場は鈍化しています。今春の市場特性としては、高齢者や生活保護者用の低価格帯の物件が不足気味です。
広川町では賃貸物件の建設が進む
 八女郡広川町は、久留米市に隣接しベッドタウンとして通勤者向けの需要は多く、賃貸は埋まっており、新規の物件建設が進むなど、新陳代謝が行われています。
コロナ禍で賃貸物件へ長期滞在が増え、空室率は低下
 大牟田市エリアでは、コロナ禍で企業の転勤がなくなり、賃貸物件への長期滞在が増え、賃貸仲介が減少し空室率は低くなっています。新規物件が供給されず、空室待ちが5~10人いるという状況です。生活保護受給者の場合、賃料収入は確実ですが、いかに入居してもらうかが課題となっています。
昨夏の浸水被害で不動産の商品価値が下落
 昨年7月の大雨では、市が被災者向けに民間賃貸住宅を斡旋したので賃貸住宅の入居率は上がりました。
しかし、今回の水害に伴い、賃貸物件の問合せに「水害に遭わないところを」と聞かれることが増えました。
筑豊地区
地方卸売市場跡地の地域開発でJR飯塚駅周辺が活性化
 飯塚市ではこの1年、新型コロナウイルスの影響はほとんど感じることがなかったようです。賃貸の法人契約などは、日頃から件数も限られており、キャンセルなどの損失もありません。
 地域開発として地方卸売市場跡地に大型スーパー「ゆめタウン」の誘致が決まったことで、JR飯塚駅周辺が活性化しています。同駅周辺には商業施設や住宅、賃貸マンション・アパートなどの建設が増えてくると予想され、周辺地域の地主は地価の動向に関心を寄せています。
供給過剰で古い物件から新しい物件への転居が続く
 賃貸は供給過剰のなかで古い物件が決まりにくくなっています。人口増加が期待されないなかで、古い物件から新しい物件への移転が続きそうです。
 今春の市場特性をみると、法人契約が減り外国人の受け入れ先が難しい状況です。シングルは二極化が進んでいくと思われます。ファミリーはセキュリティと設備充実がカギです。高齢者は低価格帯、法人はRC構造、駅近、外国人は戸建貸家を複数名で借りる形が主流です。
法人の問い合わせが減少全世帯でネット無料が人気
 今春の田川市の市場特性は、どの層も例年と特段の変化はありませんでしたが、法人の問合せは減少しました。高齢者以外の層では、ネット無料の問合せが多いようです。ファミリーは中学校の合併で地域の需要に変化が出ると思われます。
通常設備で手頃な価格帯が人気
 田川郡福智町の市場は居住用を中心に昔から貸家の需要が多く、ファミリー向けでは高機能なものより、通常設備で手頃な価格帯に人気が集まっています。賃貸物件の新規供給は個人オーナーが主体で事業者や法人は見当たりません。
北九州市内の客付け専門業者からくる問い合わせが減少
 鞍手郡鞍手町エリアは2020年当初、前年の流れから町内の物件は不足すると思われましたが、コロナ禍の影響で動きが止まりました。法人契約で外国人就労者の入居率が3年前より上がっていましたが、コロナ禍で入国できず入居申し込みのキャンセルが多数ありました。
 今春の市場は、地元に企業が少なく高齢者が多数を占めているからか、動きが鈍いというのが実感です。人気物件は店舗やバス停に近い場所で、利便性が優先されています。生活保護世帯が徐々に増加しています。
賃貸需要はファミリーネット無料が人気
 嘉麻市エリアの賃貸需要は主にファミリー層で、シングルは大学などがないことから若者が住む機会がほとんどありません。入居者の大半は飯塚市や地元に勤めています。新築アパートが増えた影響で古い物件の空室が目立ちます。空室対策として、ネット無料、賃料や敷金など入居時費用の減額・一部免除などがあります。
以上、福岡県内の概況です。
 新型コロナウィルスに翻弄された1年でしたが、現場の第一線にいる不動産業者の声を聞く限り、コロナ禍が不動産市場に与えた影響は、これまでのところ、地域による違いはあるものの、意外と少なかったように思われます。しかし、楽観視することはできません。新型コロナウィルスは、あらゆる場面で、私たちのこれまでの生活スタイルを一変させています。住宅市場にどのような影響を及ぼすのか、今後も注視していく必要があります。

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