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福岡県の不動産市況
福岡県の不動産市況
本特集記事は、主に賃貸仲介・管理業を行う県内44社の宅建業者を対象に、2月上旬から3月上旬にわたってヒアリング・インタビューを行い、これに不動産ネット「ふれんず」のデータを参考にしながら県内主要エリアの賃貸市場の動向についてまとめたものです。
なお、これらの詳細情報は福岡県宅建協会が毎年HP上で「福岡の不動産市況」として発表しています。
筑紫野地区
大型犬室内飼育可能などの企画ものを供給して差別化
 筑紫野市では、ファミリー向け賃貸が主力で、2階建て低層アパートで、2~3DK(55~60㎡)。築年数25~30年(駐車場込)で6万円前後。住宅設備は台所流し台にガスコンロ別置きが好まれており、給湯器を新規に取り付けて供給されています。
 春日東・春日野・春日北中学校など、筑紫丘高校や春日高校への進学率の高い校区へ居住者が集まる傾向です。人気の学校区内の物件だと築25年でも家賃10万円で契約されるケースもあります。また、春日市で大型犬の室内飼育を可能として入居者ターゲットを絞った特殊物件も供給されています。床面積100㎡で家賃は駐車場込み14万円ですが、犬臭や便臭対策等も行うことで入居者からのクレームもないようです。
久留米地区
家賃相場が二極化する傾向に
 久留米市では、昨年に比べ賃貸は動いていますが、安い部屋と高い部屋の両極端から入居が決まっていく傾向にあります。家賃の高いハイグレードの物件の借主は法人、医療関係者、企業経営者が中心です。
 大善寺地区では賃貸物件が昨年から問い合わせが多く、空室はほとんどありません。語学学校は寮で学生の囲い込みを行っており、外国人が3LDKに3人で暮らす法人契約などもあります。
「ペット可」ではなく「動物可」と表現
 同市の場合、久留米大学病院近くで看護学生がいるところはシングル向けの需要がありますが、基本郊外はファミリータイプが多い地域です。
 ペット可専用の賃貸物件は少ないため空室が続くとペット可にする傾向があります。ただ、既存入居者とのトラブルが課題です。猫や犬以外の持ち込み対策として、「動物可」という表現が使われる場合もあります。
シングル用に2LDKを1LDKにリノベ 広い部屋が好評
 小郡市の場合、同市内の専門学校へ通う学生が1Rを2~3年周期で入退去する傾向があります。入試が12月頃から始まり新入生は1月までに入居を決めることが多いため、3月退去の場合は空室を埋めることができません。
 1Rは入居者の回転がはやく、退去のたびに改装して経費ばかりかかることを嫌って、ファミリータイプか1〜2LDKなどに絞って建設している業者もいます。
 広い部屋が好評を博しており、3DKをリノベーションし、間取りを広くとってシングル用に変更し、家賃を4~5万円に設定しています。また、2LDKを1LDKに変えて床面積を40㎡後半から50㎡にリノベーションするケースもあります。設備・条件としてはペット可やTVモニタ付インターホンなどは当たり前となっています。
県南地区
企業関係者の取り扱いが前年の半分に
 大牟田市では、賃貸物件の新規供給が続き、JR大牟田駅近くのRC大型物件は昨年好調な動きをみせていましたが、今年に入って入居が止まり3分の1の空室がある一方で、分譲賃貸マンションには空きがない状況です。学生の動きは例年通りですが、法人関係の問い合わせが減っています。
 社会人などのシングルからは多くの問い合わせがあります。家賃の価格帯はシングルで3万円台。ファミリー向けとなると5万円前後です。
 人気物件は駅近や、商業施設など建物周辺の環境に左右されます。特性としては初期費用が安く、駐車場2台確保、築浅などを前提に、ファミリー向け物件だとエアコン設置やネット無料などが当たり前となっています。駅周辺など立地のよい所では、価格帯に大きな変動はありませんが、街中心部から離れた近郊になると家賃は減額傾向にあります。
高齢者・外国人の需要で低価格帯物件に動き
 大川市では、この一年、居住用に目立った動きはありません。事業用は大型倉庫の需要が増えましたが、賃料と建築費のバランスで新規供給はありません。今春の動きとして、市内の医療系大学がキャンパスを新設したこともあり、隣接する高木病院の関係者や学生などの賃貸需要でシングル物件は好調です。特に家具付き物件は人気です。高齢者・外国人の需要もあり低価格帯物件の動きが増えています。ファミリー向けの動きは悪く、供給が少ない状況です。差別化を狙ったデザイナーズ物件でも価格設定が高いと決まりません。人気物件の特性として、エアコン・温水洗浄便座、ネット無料は必須の設備で、ファミリー向けには宅配ボックス設置が増えました。セキュリティも重視されます。
大学が寮を建てたことで需要が減少
 広川町は、シングル向けの1LDKが新築(30㎡)で駐車場1台込み4万円。ファミリー向け2〜3LDK(50~60㎡)が5.5~6.5万円で取引されています。九州北部豪雨の被害が大きかった上陽町や黒木町では、山間部から広川町への移住が多くありました。
 久留米工業大学がある久留米市との境界付近はこれまで学生向けの賃貸需要がありましたが、大学が寮を建てたことで需要は減少しました。外国人が工業団地や田畑の農作物作業の手伝いに従事しており、企業や農家が宿泊施設を用意しています。
筑豊地区
新築物件の成約率は高いがニーズの多様化で二極化が顕著に
 飯塚市ではシングルの動きとして、学生は安心・安全な物件、社会人は低額物件を選ぶ傾向にあります。人気物件の特性は、まず立地。設備関係では、水回りの新品設備、セキュリティ設備、ネット設備。ファミリー層では駐車場(2台以上)、エアコン付き、陽当たり良好、セキュリティなど。シングル層ではエアコン・照明設備などが挙げられます。
 賃貸物件に対する需要は例年と変わらず全体に供給過剰の傾向にあり、今後差別化が必要になりそうです。
 新築物件の成約率は高く、ニーズの多様化が進んでいます。インターネットでの検索が浸透し、人気エリアに偏りが生まれて、場所によっては空室率が改善しないところもあり、二極化が顕著になりはじめています。家賃はエリアによって相場より高く感じる場合があり、新飯塚地区の大手ハウスメーカーの新築物件では2LDKで8.5万円、3LDKは10万円などもあります。
法人契約による外国人入居が増加
 鞍手町では2年前から法人契約による外国人入居が増えており、全体の約80%を占めます。会社へ自転車で約20分の距離にある2~3DKのアパートに、一世帯2~3人が居住しています。1人1.5万円相当で家賃は月4~4.5万円の申し込みが多かったことで、今春は2~3DKタイプの物件がなく、僅かに1Kなどが残る程度です。5月まで申し込みが入っている状況で、相次ぐ申し込みへの対応で、中古住宅を買取りし貸家として募集を行っています。
 JR福北ゆたか線・鞍手駅から徒歩15分以内で小学校・中学校とも徒歩500m圏内の中山・小牧校区に人気があります。
 田川市の賃貸市場は、新築アパートの供給により築20年以上の物件の空室率が増加傾向にあります。新築・築浅物件以外はシングル・ファミリー向けともに家賃を下げないと引き合いが少ない状況です。
 嘉麻市では賃貸物件への需要は主にファミリー向けで、シングルは少ない状況です。新築アパートが増えた影響で古い物件の空室が目立ちます。人気は築浅物件やネット無料の物件です。
 以上、福岡県内の概況ですが、昨年暮れに発生した新型コロナウイルスは、瞬く間に世界中に拡散し、日本でも感染拡大が進み、国民の社会・経済生活に大きな影響を与えています。この世界的な危機が景気減速に与える影響は計り知れず、不動産市場の動向は予断を許さない状況です。

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